平成28年6月26日 新座市民会館にて、埼玉県商工会青年部連合会 第一ブロック主張大会が、新座市商工会青年部主管で行われました。
朝霞市からは綿谷浩明君が主張者とし登壇し、10分間の主張を繰り広げました。
主張大会は、青年部活動を通じて感じたことや、学んだことを、各の考えを踏まえて主張する大会です。
毎年予選として、ブロック大会が行われ、その後県大会、関東大会、全国大会へと続く全国規模の商工会青年部の事業です。
朝霞市は昨昨年、昨年と県大会に進んでいるので、期待が高まりましたが、惜しくも予選通過はなりませんでした。
第一ブロックからは伊奈町と志木市が選出され、7月に行われる県大会へと進みました。
綿谷浩明氏からのコメント
「今回は、朝霞市の伝統である、『自分の言いたいことを好きに言って良い』という流れと、時枝部長にも好きに自分の考えを主張してくださいと言っていただいたので、あえて主張のメジャー路線である、一つの名物事業をあげてその取り組み、挫折、仲間の助け、そして成功や成長といったストーリーをあえて外し、青年部とは何だろうかということを哲学的視点と、現状のデータや環境を踏まえながら、これからの青年部活動の将来性についての示唆を含んだ内容で挑戦しました。原稿作成段階から、かなりの賭けで、悪い方に出れば全く共感は得られないだろうとの予想もしつつ、あえて今後の主張大会の流れを見るためのベンチマークとして挑戦させていただきました。結果としてはやはり危惧した通りになり、審査員の方からも、核の事業がないとの指摘を受けました。ただ、外部審査員の新聞社の方に直接お声がけをいただき、褒めていただいたことと、審査に加わった、時枝部長を始め、阿部県理事や小池元ブロック長からも審査会で私の評価は高かったと教えていただけたことが、救いでした。二年続いた県大会進出を私で止めてしまったことは大変申し訳なく思っております。応援していただいた皆様にも結果を残すことが出来無かったことをお詫びしたく、おもっております。ただ、朝霞の伝統として『言いたいことを言う』というポリシーは受け継がせていただきましたので、今後とも勝ち負けはありますが、是非自身の主張をしていただければと思っております。」
以下、主張の原稿文を掲載いたします。
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「青年部活動に参加して」
~あなたにとっての青年部活動、私にとっての青年部活動~
朝霞市商工会青年部 綿谷浩明
(綿谷産業株式会社)
突然ですが、あなたは何のために青年部活動をしていますか?
少し考えてみてください
地域社会のためですか? 会社の為ですか? それとも商工会という組織のためですか?
わたしですか? 私は自分の為にやっています。身勝手に聞こえるかも知れませんが、私は私の為にやっています。
申し遅れました。私は、埼玉県朝霞市で不動産賃貸業を行っている、朝霞市商工会青年部 綿谷浩明と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず私のことを少しお話しさせてください。先ほど事業は不動産賃貸業とお話しましたが、創業は真鍮管製造メーカーでした。昭和10年より朝霞にて製造業をしておりましたが、平成18年に市況の厳しさから、私の父がおよそ70年続いた工場の廃業を決断し、不動産賃貸業へと業種転換をしたのは、実に私が入社2年目の時の話でした。廃業後の処理も一段落して、新しい事業を考え試行錯誤していた頃に地元取引先の先輩からの誘いで青年部に入部し、なんだかんだで、そろそろ青年部歴も7年になろうとしています。その間の日々の青年部活動を通じて感じた、青年部とは何だろういうことについて、事業転換から第二の創業を託されている私の実情と併せて、本日は主張をさせていただければと思い、冒頭の問いかけとなったわけです。
では青年部活動といったいなんでしょうか?
誓いの言葉の中で、
地域振興発展の先駆者となる
組織活性化の推進力となる
新しいまちづくりの原動力となる。
というキーワードがあります。
多くの方々はこのような地域振興発展と組織活性化をよく主旨に据えて行動しているのではないでしょうか?
もちろん、地域の発展、そして組織の活性化に奉仕するのは素晴らしいことだと思います。
しかしながら、置かれた状況によってその方法は少し異なると思います。
ここで、私の置かれた状況、朝霞市についてもお話させてください。
会場の皆さんは朝霞市と聞いて何が思い浮かびますか?
おそらく近隣の方以外では、とくに思い浮かぶものはないかも知れません。だいたい人と話していても、よくて自衛隊駐屯地。彩夏祭も知っていてもらえれば御の字ぐらいです。それぐらい結構地味な自治体なのではないかと思っています。
その反面、消滅自治体が騒がれる現代、朝霞市は統計によると人口は増加を続けていて、平成元年の98,000人から今年1月時点では約136,000人になっています。平均年齢は42.1歳で県内3位の若い自治体。副都心線や有楽町線などの地下鉄の乗り入れも行われ、都心へのアクセスも良い割に地価が手頃なことから人口は流入しています。それに加えて、事業所数も平成24年と26年の比較を見ても、しっかりと増加しており、県の財政力の統計データを見ても0.97と全国平均の0.49と比べてもかなりよい財政基盤も持っている優良な自治体であることがうかがえます。
つまりどういうことかというと、毎年人口が減っていき、高齢化による廃業や、消費力の低下が起こっていて、何とかこの町を変えないと自分たちがこの町で生きていくことができなくなる。そうした危機感から地域社会の為、組織活性化の事業に取り組んでいる自治体に比べれば遙かに恵まれた環境にあると言うことです。もちろんこまごまとした問題は存在するのでしょうが、我々にはそこまで明確で、全員が同じ危機感を持って向かう課題があるのかと考えてしまいます。
なんとなく、私自身も毎年、イベントや事業をカレンダーで追いながら、その運営に追われてしまっていることが多々あります。
これって本当の意味で地域振興発展なのでしょうか?
これって組織活性化なのでしょうか?
これって新しいまちづくりなのでしょうか?
なにか、地域のためにやっていると言いながら、ちょっと惰性で動いている気がします。
では、私たちは、本当は何をするべきなのでしょうか?
「若き事業家として何人にも侵されない自立した経営を確立し」と青年部宣言にあります。何人にも侵されないとは、唯一無二の新しいものを確立しつづけていくことだと私は考えます。変化が激しい昨今、時代の波に翻弄される経験をしている仲間はこの中にも沢山いるのではないでしょうか?現に私も、家業の事業転換の経験から常に企業は変化を求められていると感じています。かのIBMの窮地を救った経営者ガースナーはダーウィンの進化論における適者生存をこう解釈して言いました。
「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き残るのでもなく、唯一生き残るのは変化できるものだ」と。
だた、変化するには挑戦が必要です。待っていたらある日勝手に変化していることはありません。失敗を恐れずに挑戦し、その経験を蓄積することで、変化しそれが進化へとつながっていくのではないでしょうか。
では、失敗を恐れずに挑戦は出来るのか?それは我々中小の商工業者にとってかなり難しい問いです。大きなリソースのある大手企業の様に失敗や損失を受け止められる体力はそんなに大きくはないのです。
経営の舵取りをする皆さんは、日々のご自身の経営判断を思い返してください。おそらくは失敗を嫌ってリスク回避することが多いのでは無いでしょうか?
当然ですよね、あなたの肩には家族、社員、そしてあなたの会社を取り巻くステークホルダーの人生も関わっているのですから。もちろん私も例外でなく、そうやってリスクを取ることにはすぐ尻込みをしてしまいがちでした。
進化し、時代を追い越していきたい、そうしていかなければ緩やかな死が待っている。ただし、そのための挑戦にはリスクがつきまとう、このジレンマをどう解消するのか?
それが問題です。
その解決法は目の前にありました。
そう、青年部です!
先人たち、そして地元地域は我々にこういった素晴らしい環境を提供してくれています。
時々、「商工会って経営ごっこ遊びだよね」と揶揄されることもあります。
でも私はこう考えます。
「いいじゃないですか!そのごっこ遊び。」
実際に行動できて、反響が見られるシミュレーションが出来ることなんてそうは無いんです。そこで失敗から得られた経験値をリスク無くため込むことで、進化し自身の何人にも侵されない、唯一無二の経営が確立出来るのです!
だから私は自分の為に青年部活動を行います。皆さんはどうですか?
地域振興事業、研修事業、広報活動、様々な自分の仕事では出来ない体験が、業種の垣根を越えたリソースとともに運営できる環境はなにものにも代えがたいのではないでしょうか?そしてその公共の利益の為に行ったことが、結果的に自分を育てるのです。
どうしても、「地域の為に」、「つきあいだからしょうが無い」といういいわけをしたくなりがちです。だからあえて自分の為にやっていただきたい。
無理して本業に影響するなら、休んでもいいんです。強制ではないんです。家族を、社員を犠牲にして取り組むのなら本末転倒です。
ただ想像してみてください、少し青年部の為に割いた時間が、仲間との絆を作り、その仲間が地域を活性化させ、地域が活性化することで自分の家族や会社が恩恵を受けることもあるのです。
もし何かを犠牲にするなら、その活動を通じて将来得られるものをしっかり自分で得てください。
皆さんは経営者なので、その判断は出来るはずです。
自分の為に行う活動、失敗出来る環境が青年部だとするなら、青年部活動はとがってていいはずだし、新しい挑戦にどんどん取り組むべきです。
挑戦を繰り返すことで自身を変化させ成長させる。自身が変わることで周りも変わっていく、そしてみんなが変わっていくことで、新しい風が生まれ、新しいまちづくりがうまれる。そういう良い連鎖・エコシステムを作っていきませんか?
それが朝霞市という恵まれた環境に生きる私たちの青年部活動ではないでしょうか!
私自身も、まだまだ挑戦しきれていません。これからも常に挑戦です。
皆さんも青年部を通じて挑戦しませんか?
そしてそれは自分の為であり、一番の地域への恩返しなのです!